前立腺がんの患者数は年々増加を続け、今や男性の9人に１人がかかる病気となっています。しかし幸い、初期の前立腺内に限局した状態で見つかった場合は、がんであっても、命に係わることの少ない病気でもあります。
これまで、局所にとどまった前立腺がんの治療としては、前立腺全部を摘除する手術療法、放射線を前立腺全体に照射する放射線療法、男性ホルモン（テストステロン）を低下させるホルモン療法がおこなわれてきました。しかし、治療効果の反面、尿失禁、勃起障害、血尿、排尿困難、骨粗しょう症など、毎日の生活の上で必ずしも軽視できない数々の合併症が治療の課題でもありました。
今回当院で行う「MRIガイド経尿道的前立腺超音波（TULSA：タルサ）」は新しい低侵襲治療です。腹部を切開することなく、MRIで監視しつつ、連動した治療器で正確に温度や範囲をコントロールして前立腺がんを超音波で加熱壊死させる治療です。これまでの治療と比較して治療効果は変わらず、尿失禁、勃起不全、排尿障害、骨粗しょう症などの合併症は非常に少なく、治療後早期から以前と変わらない生活を送ることができます。
また、がんのコントロールが悪い場合であっても、追加治療の妨げとなることもありません。
タルサ治療は、前立腺がんになった場合、まず初めに検討すべき治療と思い、当院で治療を開始いたしました。前立腺がんと診断されたとき、一度検討されてはいかがでしょうか。